栽培の手引き
1. 植え付け苗の選び方
本葉が4〜5枚で、根鉢が崩れずしっかり根が張っている物が植え付け時期の苗です。図のように株元から大きく厚い本葉が展開している苗が理想です。逆に、葉がこみあったり日照不足だと徒長して、側枝の発生が悪い苗になりやすいので注意して下さい。
スイカの接ぎ木苗
低温伸長性や土壌伝染病害(つる割病)への抵抗力を高めるため、ユウガオやカボチャを台木とした接ぎ木苗が一般的です。自力での接ぎ木は難しいので、初心者でなくとも接ぎ木苗からのスタートをおすすめします。
2. 植え付け
スイカは霜に弱い高温性の作物です。植え付け時期の目安は、晩霜の心配が無く最低気温10℃、最低地温15℃以上になった頃です。一般地の露地栽培では5月上旬ごろ、トンネル栽培では4月中旬〜下旬ごろになります。
施肥量
元肥の量は目安として10㎡あたり成分量で、チッソ100〜150g、リン酸150〜200g、カリ100〜150gを施用します。元肥が多いと「つるぼけ」をおこし、着果や玉の肥大が悪くなるので注意します。
トンネル・マルチの利用
スイカはアフリカ原産だけあって高温乾燥を好み、水はけの悪い場所を嫌います。日本ではどうしても梅雨をまたいでしまうので、マルチやトンネルで雨や寒さをしのぐことで、着果や初期肥大が安定し収穫前の玉の割れも少なく甘くなりやすくなります。
トンネル・マルチを使った栽培
収穫前の果実
3.植え付け後の管理
スムーズな活着のために植え付けは晴天の午前中に行い、地温を確保します。
また、スイカの仕立て方は様々な方法がありますが、家庭菜園の大玉栽培では本葉5〜6枚で親づるを摘心し、子づる4本整枝2果取りが安定します。詳しくは下図の通りに行います。
4. 仕立て方
■ 大玉の場合
●大玉スイカ「子づる4本整枝2果どり」栽培の場合
名前が小難しいですが、名前通り子づるを4本残し、果実を2個成熟させるやり方です。
・着果節までの側枝は早めに除去(図の青い矢印)
・着果節以降の側枝は基本のこす(図の赤い矢印)
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16〜22節あたりの3番花に着果させるのがよいでしょう。これよりも低節位だと玉が小さく扁平になりやすく、高節位だと大玉過ぎて玉が空洞になったり割れたりする可能性が高くなります。
交配季の草姿
交配季の雌花
■ 小玉の場合
●「子づる4本整枝3果どり」
1番果収穫後、草勢が安定していれば2番果を着果させて6玉収穫を目指します。
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プランターの場合
プランターで育てる場合の苗やプランター選びは前述したとおりですが、気をつけるポイントは仕立ての仕方です。どうしてもスペースが限られるため、プランターを支柱で囲うように4本立て、空中栽培するのが最も簡単です。小玉なら緑のカーテンにしても良いでしょう。いずれにしても実は空中で出来るので、重さに耐えることが出来るよう実をネットで吊るすなど工夫が必要です。
5. 交配
最低液温は15℃以上必要で、日照不足、チッソ過多、高温、多湿によって茎葉が軟弱に成長しているときは雌花の着生が悪く、落花が多くなります。
スイカの雌花
スイカの雄花
着果後の雌花
■交配期の生育状態を判断
朝につる先がしっかり持ち上がり、当日開花した雌花からつる先までの長さ40〜50cmぐらいが適当です。それより短い場合は草勢が弱く果実の肥大不足が予想されますので、交配を先送りして葉枚数を確保します。また、長い場合は草勢が強く着果率の低下が心配されますので、孫づるをもう少し先までかき取るなど、草勢を抑える管理が必要です。
6. 玉直しと収穫
果実がソフトボール大になったころ、果楩部(へたがついている部分)を上にして変形を防ぎます。着果後1ヶ月ころから、果皮の着色と果肉の熟度を均一に保つために玉直しを行います。接地面に突然日光をあてると日焼けのおそれがあるので、2〜3回に分けて少しづつ回転させます。詳しくは下図の通りに。
収穫期の判断
スイカの収穫期の判断は難しく、経験が必要とされる点もスイカが難しいと言われるポイントです。たたいて音で判断する、というやり方もありますが、開花交配後の日数と積算温度を目安にします。7月収穫であれば大玉スイカで45〜50日、小玉スイカで35〜40日が大体の目安です。積算温度では大玉で約1000℃、小玉で約800℃です。
自信が無ければ収穫前に試し割りを行い、熟成度を確かめてから収穫をすると良いでしょう。
情報提供元:タキイ種苗
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