もっと詳しく「ねぎ」の種類

ねぎ群

古くは中国より伝えられ、奈良時代には存在が確認されていたという日本でも古来より親しまれてきた「ねぎ」。ざっくり白ねぎ・青ねぎがあり、日本の西と東で呼び方が違う、という話を前ページでお話ししましたが実はもっと細かく深いのがねぎの世界。休眠性から「品種群」の考え方で分けると、白ねぎは「加賀ねぎ群」、青ねぎは「九条ねぎ群」、その中間の特性を持つ「千住ねぎ群」の3系統に分類され、さらにそこから地方ごとの個性ある品種に繋がっていきます。また、さらにねぎの親戚などバリエーションが多数。ここでは奥深いねぎの世界を紹介します。

1. 加賀ねぎ群とは?

白ねぎの一種。冬に休眠するので寒さに非常に強く、雪が降る地域でも越冬できるため、北海道・東北・北陸など雪が降る地域で栽培されています。分けつ(株が分かれる現象)が少ない・白根部分が非常に太いのが大きな特徴。下記では一例を紹介します。

加賀ねぎ

■ 加賀ねぎ

金沢出身の別名“金沢一本太ねぎ”。名前通り分けつせず、太く大きく肉質はとても柔らかい。寒さに非常に強く、寒ければ寒いほど甘みを増す特徴を持ちます。

下仁田ねぎ

■ 下仁田ねぎ

群馬県下仁田町の特選品として有名な品種。加賀群のねぎの中でも白根部分がひときわ太く大きいのが特徴。生では辛いが煮ると甘みが増すため、加熱調理されることが多い。古くは徳川幕府や皇室にも献上されていた由緒正しき高級品。

2. 千住ねぎ群とは?

主に関東周辺で栽培されるねぎで、そこから派生した品種が千住ねぎ群です。一般的にスーパーで見かける「白ねぎ」は千住ねぎの血統が大半を占めます。休眠は浅く、夏も冬も成長するのでシーズン問わず出回っています。

千住ねぎ

■ 千住ねぎ

江戸でかつてさかんに栽培されていた品種。千住市場に集められたため、千住ねぎと称されるようになったそうです。現在ではほとんどが埼玉で栽培されているそう。加熱すると甘みが出るため、煮物などでよく使用されます。

深谷ねぎ

■ 深谷ネギ

日本一のねぎの産地、埼玉県深谷市で栽培されているねぎの総称。最大の特徴は糖度が高く甘いこと。果実に匹敵する10〜15度前後あると言われています。

3. 九条ねぎ群とは?

いわゆる青ねぎ(葉ねぎ)のこと。伝統野菜な京野菜「九条ねぎ」は有名ですが、そこから派生した品種群のことを言います。分けつが多く、白根部分が少ないため主に葉(緑の部分)を食します。また、青い葉の部分は日光をふんだんに浴びており、白ねぎより栄養価が高いのも特徴です。夏の暑さにも強いため年中栽培されています。

九条ねぎ

■ 九条ねぎ

伝統的な京野菜でルーツは奈良時代という古くから栽培されてきた野菜。浅黄種(細葱)、黒種(太葱)の2種類があり、九条ねぎとして有名なのは黒種のほう。煮物や薬味として使用されます。葉が柔らかく風味が豊かで内部はヌメりが多いのが特徴です。

万能ねぎ

■ 万能ねぎ

小ねぎとも称される、九州一円で生産されている小ぶりなねぎの総称。その名の通り生でも煮ても焼いても薬味としても使えるのが特徴です。見た目が似ているため、関東でなぜか「わけぎ・あさつき」と混同されていることが多い。

越津ねぎ

植付時期 : 3~4月
収穫時期 : 10月~
※栽培エリアにより収穫時期が異なります

愛知県の伝統野菜!7~8月ごろ、分けつした株を掘り下げて植え替えをしてください。秋には越津ネギが収穫できます。7月に収穫しても夏の間は固くておいしくありません。

4. その他ねぎの仲間たち

あさつき、浅葱

■ 浅葱(あさつき)

元々野草で、名前は漢字の通り葱(ねぎ)が浅い色をしていることから来ています。辛みが強く、薬味としての使用がほとんどです。見た目は万能ネギとよく煮ていますが、球根から育てるなど大きな違いがあります。調味料でよく使われるチャイブはあさつきの仲間です。

わけぎ、分葱

■ 分葱(わけぎ)

ねぎとエシャロットの雑種がルーツだそう。クセが少なく甘みが強いのが特徴です。「ぬた」によく使われますが、炒め物や煮物にも合います。こちらもあさつき同様、球根から育てるので根元がぷっくりしているのが万能ねぎとの見分け方です。

リーキ

■ リーキ(西洋ねぎ)

広くヨーロッパで利用されているねぎ。加賀ねぎ群のねぎ同様、根白部分が太いのが特徴です。長ねぎとの見た上での違いは葉が「V字」になっている点。味はまろやかで自然な甘みが特徴です。スープなどに利用されます。日本では数が少ないため高級品です。

「ねぎぼうず」って?

「トウ」は花を咲かせる茎のことで、花茎が伸びることを「トウ立ち」と言います。「花芽分化」は葉や茎を形成したいた部分が花に分化していく現象です。

ある程度生長した苗が低温に遭遇して「花芽分化」が起こります。条件は品種によって差はありますが、一般的に葉鞘径が5〜7mm、葉長が20cm以上に達した株が10℃以下の低温に30日間以上遭遇すると花芽分化をします。

ねぎの場合、とう立ちしてつぼみが出てくると収穫シーズンは終わりです。花が咲く前につぼみを引き抜いて収穫してしまいましょう。

その際に切り取ったつぼみを「ネギ坊主」と言い、これも天ぷらなどにして食べることができます。

ネギの花

ねぎの花

病害について

ねぎは湿気に弱く、水をやり良すぎると病気にかかりやすくなります。また、肥料のやりすぎも病気につながります。ここでは、ねぎがかかりやすい病気について解説します。害虫がつくこともありますが、深刻な被害を受けることは少ないので割愛します。

べと病

■べと病
葉に黄白色のぼやけた大型病斑を生じ、後に病斑上に灰色のカビ(胞子)を生じます。病原菌は糸状菌(カビ)で、春と秋に発生し低温で雨が続くと多発します。発生しやすい時期になれば予防剤の散布を行い、病気の発生を防ぐようにしましょう。

さび病気

■さび病
葉や花茎の表面にオレンジ色の小さな紡錘・楕円形の小斑点を多数形成します。発病の激しい場合、葉全体に病斑が生じ、葉は黄白色になり枯死します。病原菌は糸状菌(カビ)で15~20℃で発病が多く、春と秋に発生し、24℃以上では発病しません。雨が多いときや、チッソ過多の場合は多発します。病斑を見つけたら、薬剤散布を行い初期防除につとめましょう。

黒斑病

■黒斑病
病原菌は糸状菌(カビ)で、葉の中心に淡褐色病のくぼんだ斑点ができ、次第に拡大して同心円上で黒色すす状のかびを生じ、病斑から上部の葉は枯れて垂れ下がります。春から秋に発生し、24~27℃で、降雨が多いと多発するので、早めに薬剤散布を行うようにしましょう。


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白ねぎ栽培の手引き

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青ねぎ栽培の手引き

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ねぎ栽培ワンポイントアドバイス

ねぎの栽培の豆知識や要注意ポイントを解説。品種選びや必要な用品の参考にしてください。

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